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注文住宅とは?売建住宅、建売住宅との違い

戸建住宅外観

一戸建ての住宅を建てる方法は大きく注文住宅、売建住宅、建売住宅に分かれると思いますが、それぞれどういう違いがあるのでしょうか?

それぞれ簡単に分類すると下記のようになります。
・『注文住宅』とは、自由設計の完全オーダーメイドの住宅、アイデア次第で間取りだけでなく仕上材や造作も自由で、主に建築家との家づくりを指します。
・『売建住宅』とは、間取りは自由になりますが、仕上材や住設等は施工会社の標準仕様にのっとった範囲で建てる住宅です。大手ハウスメーカーの家づくりがこれに当てはまります。
・『建売住宅』とは、すでに出来上がった状態の住宅を内覧して購入するスタイルです。

あなたが家を建てる時にはどの建て方があっているのでしょうか?それぞれの建て方を詳しく解説します。

多様な要望に対応する自由設計の注文住宅

戸建住宅外観
『注文住宅』とは、建築主が自分の希望を活かして建築する住宅です。
『売建住宅』『建売住宅』と様々な家づくりがありますが、設計事務所と建てる『注文住宅』が最も自由度の高い住宅を建てることができます。
そんな『注文住宅』について、メリットとデメリットを踏まえて解説します。

●建築家と建てる注文住宅、敷地探しから設計・施工まで
●「住宅性能表示」「長期優良住宅」「ZEH」。。。省エネ住宅を巡る流れ
●設計事務所に家づくりを依頼するメリット、施工ではなく設計を請負う

『フルオーダー住宅』と『セミオーダー住宅』、その間をとるという考え方

『注文住宅』といわれる自由設計の住宅も2極化すれば、『フルオーダー住宅』と『セミオーダー住宅』に分類できると考えます。

『注文住宅』の中でも完全オーダーで唯一無二、構造も水廻りの設備も仕上部材も新築にかかわる全てを指定して建築するのを『フルオーダー住宅』だとすれば、ある程度は設計事務所の仕様に合わせながら、強くこだわりたい部分に集中してお金と時間をかけるメリハリを利かせた住宅を『セミオーダー住宅』とします。

しかし、現実的にはすべてにおいて注文住宅をフルオーダーするというのはなかなか難しいものです。完全な『フルオーダー住宅』では、自由度が高い反面、高度な建築に対する知識が必要になる上に、多くの手間と予算がかかります。

ほとんどの『注文住宅』は、『セミオーダー住宅』として建てられることになるのですが、
風呂、トイレ、キッチン等の住宅設備や外壁、窓の種類、断熱性能、耐震強度等、建築主によってこだわりの強い部分が異なります。
『セミオーダー住宅』としては、どこに優先して時間とお金をかけていくのか、その予算配分から考える必要があります。

ほとんどの場合この『セミオーダー住宅』に落ち着きます。
予算も時間も無限ではありませんから、当然ですね。

ただ、『売建住宅』といわれる建築条件付きの住宅や、ハウスメーカーの住宅に比べると格段に自由度が高いです。
『セミオーダー住宅』とはいっても、こだわる部分の優先順位から、その内容まで含めると無限に組み合わせはありますから、世界に一つだけの住宅をつくることができます。

注文住宅のメリット① -本当の意味での自由設計-

『注文住宅』の最大のメリットだといえるのが、設計の自由度の高さです。
間取りだけでなく、外観やインテリア、家具、キッチンや風呂等の住宅設備の他、耐震性能や省エネ性能等の目に見えない部分までこだわることができます。

施工会社によっては得意分野があって、家具や住宅設備にこだわりがあったり、省エネに特化していたり、耐震設計が得意だったりすることがあります。
しかし、設計事務所に設計監理を依頼した場合は、施工会社の得意分野に引っ張られることなく、逆に住宅の設計に適した施工会社を選ぶことができます。

注文住宅の提案例
●スバコ
●大きなテラスの家

注文住宅のメリット② -どんな敷地にでも建てられる-

ある程度の間口や奥行きがある平坦な土地でなくても、狭小地やがけ地、ウナギの寝床といわれるような間口が狭くて奥行きの深い土地等の変形地でも『注文住宅』は建てることができます。
それどころか、敷地の条件が厳しいほど唯一無二の住宅になる可能性が高くなります。
厳しい条件の敷地を安価に手に入れて、予算を建築費に多めにかけるということも考えられます。

注文住宅のメリット③ -建築現場をチェックできる-

出来上がった住宅を購入するスタイルの『建売住宅』とは違い、『注文住宅』の場合、更地の状態から住宅を建てるので、竣工してしまえば見えなくなるようなところまで建築現場で確認することができます。
特に設計事務所に設計監理を依頼していたら、建築現場の確認作業を建築主と一緒に(もしくは代理で)行います。
この建物が出来上がっていく途中段階で現場を見ることができるメリットは、「図面通りに現場が進んでいるのかというチェックができること」と、「その場で打ち合わせをして変更できるところは変更して、住宅をより良いものにすることができる」等があります。

注文住宅のメリット④ -こだわりに合わせて予算を調整できる-

『注文住宅』では予算の配分によってこだわりを実現することができます。
もちろん完全フルオーダー住宅で建てることができればいいのですが、それではほとんどの場合で予算オーバーしてしまうことになります。
そういった時は、施工会社からの見積もりを見ながら優先順位をつけて、こだわりの少ない部分はグレードを下げてコストを調整して予算内におさめるようにします。
うまくコスト調整して世界に一つの家をつくりましょう。

注文住宅のデメリット

・入居までの期間が長い
『建売住宅』であれば住宅を購入してすぐに入居することができます。
『売建住宅』にしても、打合せすることが少ないので比較的早く住宅が出来上がります。
しかし、『注文住宅』は敷地探しに時間がかかる場合もあるので、設計契約まで1か月以上かかることもよくあります。さらに設計業務に入ってからも間取りだけではなく、打合せ項目が多いので時間がかかります。
着工してからも造作工事が多くなったりするので竣工まで時間がかかり、住宅の取得を検討し始めてから入居までの期間が長くなります。

・ローンが複雑になる
『建売住宅』では土地、建物を一括で支払うのでローンの実行も単純になります。
しかし『注文住宅』や『売建住宅』では土地取得時、建築工事着工時、上棟時、竣工時等に支払いが発生するので、つなぎ融資や分割融資が必要になります。

・完成イメージを把握しづらい
『建売住宅』では住宅本体を確認することができますし、『売建住宅』では事前にモデルハウスを確認できることもあります。
それに比べて、『注文住宅』は世界に一つだけの住宅をつくろうとするので完成をイメージする方法が、設計図の他には模型やパースになります。設計者もできるだけの表現で完成イメージをつくりますが、『注文住宅』の設計ではこういった限られた資料の中で完成をイメージしていくことになります。

まとめ

『注文住宅』は時間をかけて住宅をつくるため、建築主にも根気が求められます。
住まいにこだわりの強い方、その住宅づくりのプロセスを楽しむことができる方は、じっくり建てる『注文住宅』があっていると思います。

主に大阪・兵庫を中心とした関西圏で『注文住宅』をお考えの方、よろしければ当設計事務所にご相談ください。
デザインはもちろん、構造や省エネ等の専門的な部分も責任をもってフォローさせていただきます。

●建築家と建てる注文住宅、敷地探しから設計・施工まで
●「住宅性能表示」「長期優良住宅」「ZEH」。。。省エネ住宅を巡る流れ
●設計事務所に家づくりを依頼するメリット、施工ではなく設計を請負う

工務店の標準仕様内で自由な間取りの売建住宅

注文住宅

売建住宅とは

『売建住宅』とは、住宅販売業者が土地を確保して、土地とこれから建築される予定の住宅とをセットで契約する住宅の建て方で、ハウスメーカーの他一部の工務店等に代表される建て方です。
『当該土地に、一定期間内に指定した工務店で家を建てる』という建築条件が付いている土地を購入して、指定された住宅会社で家を建てるのです。
つまり『この土地を買ったら、うちの紹介する工務店で速やかに施工を請け負わせてくださいね』ということです。
土地を売ってから家を建てるので『売建住宅』と呼ばれています。

売建住宅のデメリット

売建住宅の場合、土地の購入時点では住宅が建っていない上に、広告で自由設計やフリープラン等とうたっていることからフルオーダーの注文住宅のようなイメージをもたれる方が多いと思います。
しかし、実際には広告で自由設計とうたっているのは、ハウスメーカーも含めてほとんどがセミオーダーの『売建住宅』ではないでしょうか?

売建住宅でも、プランぐらいはある程度自由にできるとは思います。しかし、建てる工務店が決まっている為、工務店によっては構造やデザイン・造作等に自由が利かないこともあります。

建てる会社を選べないのは大きなデメリットですね。建築条件付きの土地を買う前に工務店とも面談を行い標準仕様を知っておきたいところです。

さらに売建住宅では、住宅請負契約までの期間が決まっていることが多く、デザインや設計に納得できるだけの時間をかけられないことも予想されます。

つなぎ融資や分割融資が必要

土地と建物をセットで販売する『売建住宅』ですが、実際の契約は土地と建物で別々で結び、別々に支払が発生することになります。
出来あがった住宅を買う『建売住宅』では必要ありませんが、『売建住宅』では土地を買った後で住宅建築の請負契約を結ぶ為、『注文住宅』と同じように、つなぎ融資や分割融資が必要になるので諸経費が少し増えます。
つなぎ融資や分割融資についてはこちらの記事もご覧ください

売建住宅のメリット

土地探しがスムーズに進みやすいです。
人気の地域では、『売建住宅』の業者が土地を抱えているので、土地が建築条件付きであることが多いです。立地優先で建築条件のついていない土地を探すとなると、常にアンテナを貼っておかなければ、なかなかいい土地が見つかりません。

また、住宅の仕様については、工務店から提示された標準仕様を元に選んでいくことになるので、打合せの回数も少なく済み、竣工までの期間も短く済みます。
間取りを自由に計画したいけど、お家づくりに時間を割けない人や早く引っ越したい人には向いていますね

注文住宅との違い

当然ですが、建築家の図面によって住宅を建てることはできません。『注文住宅』と『売建住宅』の違いはここで判断できるのではないでしょうか?
『売建住宅』を建てている工務店は、標準仕様から外れる建築家のデザインで住宅を建てることを断りますが、『注文住宅』の工務店は建築家の図面でも住宅を建築してくれます。

つまり『売建住宅』とは、完全なオーダーメイドの『注文住宅』と、すでに建っている住宅を購入する『建売住宅』との中間のイメージです。
出来あがった住宅を買う『建売住宅』よりも自由度は高いですが、全ての希望をかなえられない可能性があるので、こだわりの強い住宅を作りたい場合、『売建住宅』は避けたいところです。

建築済の住宅を確認してから購入する建売住宅

注文住宅
建売住宅とはすでに建っている住宅を買う方法のことを指すのが一般的です。
出来上がった家を土地付きの金額を提示されて買うので安心して買えるように思いますが、建築には設備や断熱等の目に見えない部分があります。
建売住宅では金額設定を安くするために見えない部分のグレードは低いことが多いのではないかと思いますが、一番お手軽な住宅の買い方だと思います。
ただ、考え方にもよるので何とも言えませんが、一生に一度の買い物をお手軽に済ますこともないような気もしますけどね。
この建売住宅も購入のタイミング(施工中の場合等)によれば、仕上材の変更等多少の融通は聞いてもらえることがあるようです。

最後に

注文住宅
住まいへの思い入れが強く、こだわりの住まいづくりを楽しみたい方は設計事務所をパートナーに選び自由設計の注文住宅を選択することも検討してもいいと思います。
打合せには時間がかかり、けっこうエネルギーを使いますけど、出来上がった住宅は唯一無二の満足いくものになるでしょう
あまり時間をかけずに住宅を手に入れたい方は条件に合わせて売建住宅や建売住宅を選択するのもいいと思います。

ここで住宅の立地を優先して考える場合のことなのですが、空き地が出たらすぐ売れるような人気のある地域では建売業者に土地を抑えられて建築条件の付いていない土地がなかなか出回っていなかったり、出ていたとしても手が出ないほど高額なことがあります。
こういったときは中古マンションを買ってリノベーションするという方法もあります。
もちろんそういう地域では中古マンションもそれなりに高いですけどね。

中古マンションを買うメリットはまた別の機会に

執筆者略歴

[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の企画・デザイン・設計及び監理、中古住宅やマンションのリノベーション、オリジナル家具のデザイン・製作等を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選

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