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高さ制限を踏まえたボリュームチェックについて(東大阪のオフィス)

高さ制限を踏まえたボリュームチェックについて(東大阪のオフィス)

東大阪市の3階建てのオフィスの新築工事の提案をしています。

この建物の敷地は準防火地域にあり、角地で二面道路に面しているので、建築面積には緩和があるのすが、敷地面積が小さく、前面道路の幅員も狭いために3階建てになると道路斜線による高さ制限が厳しくなってくるのです。

建蔽率の緩和について

まずは建蔽率の制限について考えます。
この建築は「準防火地域内の3階建て」なので準耐火建築物にする必要があります。角地緩和の規制と合わせて+20%の建蔽率の制限はとても余裕があります。
「準防火地域内の準耐火建築物」で建蔽率+10%
二面道路に面していて道路の交差部を「隅切り」をしていたら建蔽率+10%
となるので、東大阪市で定められた建蔽率60%に+20%して建蔽率が80%になるのです。
一般的に住宅地の建蔽率は60%が多いのですが、それが80%ともなれば敷地をほぼ余すところなく使えます。

3階建てにするには厳しい道路斜線

この建築物、敷地面積に対する建築面積の建蔽率には余裕があるのですがただし、前面道路が狭いために道路斜線による高さ制限がかかってくるのです。
この建物の計画地は住宅街にあるので前面道路幅員はそれほど広くなくて、狭い方は4m、広い方でも5.25mしかありません。
道路斜線とは、前面道路の幅員に対してかかってくる高さ制限なのですが、その道路が狭ければ狭いほどに不利になります。
敷地の二面が道路に面していて、この敷地の形状の場合は4mの道路も広い方の5.25mの幅員があるとして計算することができるので、少し有利にはなるのですが3階建てにするにはちょっと高さが足りないのです。
敷地に対する建築面積が大きく建てられるとしても高さに制限が出てしまうと、そのメリットも半減です。

天空率

天空率
空を見上げて、「高さ制限いっぱいで建てた場合に見える空の割合」と、「計画建物を建てた場合の空が見える割合」を比べて、後者の方が大きくなるように計画する「天空率」という考え方もあるのですが、これは全体的には高さに余裕があるのに部分的に高さ制限を超えているときに対する措置なので、全体的に高さ制限を超えているこの計画には適していません。
今回の計画では見るからに天空率では解決できそうにありません、実際ラフに計算してみた結果はNGでした。

桁落ち

高さ検討
さて、最後に残されたのは「桁落ち」という方法です。
桁落ちとは、道路斜線制限にかかる一部の桁を下げて高さを抑えるやり方です。
最上階の梁の高さを部分的に落として建物高さを下げるのです。道路に面した部分の上部が不自然に斜めにカットされたような建物を見かけられたことがある方もいると思います。街を歩いているときに建物を見上げれば結構あります。その斜めのラインが道路斜線による制限に沿って桁落ちさせた形状なのです。

最後に

高さ制限に対応するためにはいくつかの対応方法がありますが、その敷地のロケーションによってよい方法を選択していく必要があります。
しかし、それによって多少のデメリットは出てくることもあります。
今回の計画では道路に面した部分を桁落ちさせたため、その部分の天井高が低くなるというデメリットが出てきます。
それでも、この道路面にトイレや物置、カウンターなどの天井が低くても許容できる機能を持ってくることで空間の使い勝手に支障が出ないように計画しています。

いかがでしょうか?今回は高さ制限の検討の手順を実際の例を基にして解説してみました。
このオフィスも細かいところを詰めたら確認申請を下して着工になります。
これからもいいモノづくりができますように


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