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おしゃれな造作カップボードで収納のデッドスペースをなくそう

おしゃれな造作カップボードで収納のデッドスペースをなくそう

カップボードってキッチンメーカーの既製品でもそれなりに費用がかかります。
この記事で紹介するのは、大阪で注文住宅やマンションリノベーションのデザインを中心に活動している設計事務所と家具職人のコラボレーションによる、キッチンの造作カップボードです。
これはリノベーションした中古マンションに導入したオーダー家具のカップボードなのですが、導入が現実的になるように費用もできるだけ抑えています。おそらく同じものをこれよりも安く作れるキッチンメーカーはいないでしょう。

●この記事で紹介するカップボードの解体から納品までの様子です

カップボードとは

カップボードとは主にキッチンの食器棚の事を言いますが、『当設計事務所では』食器収納以外にも家電や配膳カウンター等を納める他、家事動線の中心としての造作家具と広範囲にとらえています。
マンションのリノベーションという限られた空間の中でデザインしたカップボードを元に、キッチンの収納についての考え方やデッドスペースの活用方法を考察してみました。

造作カップボードの費用と購入のタイミング

造作カップボードの費用

キッチンメーカーの既製品のカップボードでもそれなりに費用がかかるものです。大きさにもよりますが、既成品でも30万円以上の覚悟は必要です。
造作家具でつくるカップボードともなればいくらぐらいかかるのか想像もつきません。
しかし造作カップボードは大きさや素材、作り方によって、既成品以上に大きく金額が変わるのです。
建築工事中に現場の大工さんが集成材等で簡単に組むようなものであれば10万円以下で製作可能だし、家具工場で造作家具としてつくれば50万円を超えるようなものもあります。
幅広い価格帯で製作可能な造作カップボードの自由度は、デザインだけではなく費用も調整することができるところにメリットがあります。

造作カップボードを購入する方法とタイミング

ハウスメーカーや工務店等で家を建てる場合は、住宅の新築時にハウスメーカーでカップボードを買う以外にも、引渡後に別の業者から後付けの施工もできます。
見積の比較等、少し手間はかかるのですが、ハウスメーカーや工務店を通さずに家具屋さん等の別業者の後付けによって大幅な減額が可能になります。
その上しばらく新居に住んでみてから後付けすると、必要な収納物や収納量も定まってくるので、より生活に適応した造作カップボードの設計ができるのもメリットです。

造作カップボード以外でも、新居の引渡後に造作家具によって空間を仕上ることで、建築費を抑えながら豊かな生活を手に入れることができます。

●当店でも造作家具の製作を承っているので、後付け家具についても是非ご相談ください

狭小住宅で造作カップボードに求める機能と収納容量について

キッチン
キッチンの収納と言えば、家具としての『カップボード』と建築空間としての『パントリー』が考えられますが、一戸建ての注文住宅に比べて延べ床面積に制限のある、マンションのリノベーションや狭小住宅では、スペース的にパントリーを設けることがなかなかできないことが多くなります。そんな時はちょっとした隙間を最大限に利用する『オーダー家具』として工夫した造作カップボードがとても有効です。

家事動線の中心としての造作カップボード

スペースの限られた狭小住宅やマンションでは、家事の中心としてちょっとした時に立ち返ることのできる場所として、キッチンのカップボードを使用頻度の多い小物を収納する家具として位置付けてもいいかもしれないと考えています。
キッチンには食器や食材やゴミ箱や掃除道具、電子レンジや炊飯器等の調理家電の収納の他、筆記用具やメモ帳等の生活用品の収納場所としてのカップボードがあればとても便利なのです。

日常使うものってそんなに多くないものです。
家事の中心となるキッチン廻りに毎日よく使うものを集中して収納しておくことで効率の良い家事動線を作ることができると考えています。

優先するのはデッドスペースを無くす事

キッチン収納の他、家事の中心としての機能を求められるカップボードでは、その収納量を確保する為に限られた空間を最大限に有効利用する必要があります。
そのため、当設計事務所では局所的なキッチンやカップボードの配置の関係の中で、小物の具体的な収納方法よりも、デッドスペースをつくらない事を優先してデザインしています。
L型配置のキッチンの角、配膳カートや引き出し等のディテールの工夫で、デッドスペースを無くし、より大きな収納空間を確保するように努めます。

もちろん、その収納空間の中でも『収納しやすい場所』や『モノを取り出しにくい場所』ができてしまうのですが、最大限に確保した空間の中でその場所の特性を生かしながらうまく収納してうまく収納スペースを使いましょう。
さらに断捨離!モノの量を制限するといったことも大切になってきます。
空間は無限ではありませんから、おしゃれに住むという事は最小限に住むということにつながると考えています。

ここからは、カップボードの実際のデザイン例をご覧いただきます。

マンションリノベーションの造作カップボード製作事例

このマンションリノベーション住宅では、リビング・ダイニング空間をできるだけ広く取りたかったので、対面キッチンではなく壁付けキッチンを選択しています。
そしてその壁付けキッチンに対して、L型に造作カップボードを配置することになりました。

●マンションリノベーション現場にキッチンとカップボードを製作した事例です -解体から納品まで-
●マンションや狭小住宅のキッチンは壁付けがおすすめ!その理由は?

キッチンのL型配置の問題点

カップボードといえば、キッチンと向かい合ってカウンターがあって、その上には吊戸棚があるというのをイメージされる方が多いかもしれません。
この住宅の造作カップボードは、キッチンとの関係でL型に配置されています。
しかし、L型という配置にはちょっと問題があるのです。
キッチンに限らす収納ではよくあることなのですが、L型の角になる奥のところがデッドスペースになるので、そこをどう有効利用するのかが課題になります。

この造作カップボードでは、できるだけ使いやすく、収納量も豊富に確保したいということで、配膳カートと引き出しを組み合わせて造作することでデッドスペースを解決しました。
カップボードというよりも、造作家具を作るイメージですね。

造作カップボードのディテール

造作カップボード
まずは全ての扉を閉じた状態です。
間接照明に照らされた、キッチンのカウンターから続く作業台がちょっとしたアクセントになっています。 電子レンジを置く場所として設定しているのでタイル貼の壁面には専用コンセントを設置しました。

造作カップボード
配膳カートを取りだしました。
仕込んだ食材を一時的に置いておいたり、盛り付けが終わった料理を置いていったりと、このカートも使い勝手が良いですよ。

造作カップボード
配膳カートがなくなると、カップボードのL型配置の奥のデッドスペースから引き出しを出すスペースが生まれます。
この家では、デッドスペースの引き出しに日常的に使わない洗剤等のストックや、カートを引きだして調理した後に取り出してくるようなホットプレートや鍋を収納しています。
上部の吊戸棚もレンジフードによってコーナーがデッドスペースになってしまっていますが、ここは単純に手前から手を伸ばして使う収納になっています。
コンロに面する部分のメラミン化粧合板は不燃材のものを使用しました。
家庭用のコンロの火力だし、火元から距離もあるしこの仕様で十分です。

最後に

カートを引きださないと使えない引き出しが不便ではないかと感じる方もいるかもしれませんが、料理をしている間は意外とカートを引き出した状態のことが多いものです。
キッチンだけに限った事ではありませんが、デッドスペースとなるコーナーの収納については永遠の課題だと思っています。

多種多様な価値観を持った注文住宅のオーナー、それぞれの使い勝手に合った収納を造作家具で対応しています。
住み始めてからでもオーダー家具で課題を解決できますから、大阪を中心とした近畿圏で、新築注文住宅やリノベーションを検討中の方だけでなく、キッチンのリフォームをお考えの方も是非ご相談ください。
ちょっとしたことに不便を感じている方、よかったら一度ご相談ください。

●注文住宅のサイト

●マンションリノベーションのサイト

●オーダー家具のサイト

執筆者略歴

[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の設計及び監理を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選

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