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造作カップボードとオールステンレスキッチンの搬入設置

造作カップボードとオールステンレスキッチンの搬入設置

横にキッチンを取り付ける予定なのでその前に、リノーベーション現場に造作カップボードを設置しました。

ガス、水道、電気、排気等のキッチンの設備を仕込み、キッチンパネルのかわりにタイルを貼ったらいよいよです。
現場のサイズに合わせてオーダーしたカップボードが大阪の家具工場からやってきます。

対面キッチンから壁付けキッチンへの変更

造作カップボードとオールステンレスキッチン
マンションリノベーション工事の解体前の様子です。
元々のキッチンは対面型になっていたので撤去します。今回はスペースの有効利用に配慮して壁付けキッチンに変更します。
スペースの限られたマンションのリノベーションや、たとえ戸建住宅だったとしても狭小住宅をデザインする場合のキッチンはよく考えるべきです。
憧れだけで対面キッチンを選択する前に・・・

●マンションリノベーション、狭小住宅には壁付けキッチンがお勧めです!LDKの空間の使い方も含めて解説します。

解体工事完了ー残すところと撤去するところー

造作カップボードとオールステンレスキッチン
こちらは解体工事が終わった直後のキッチン廻りの様子です。
ここにはキッチンとカップボードが配置される予定です。
このマンションのリノベーションでは解体をスケルトンまでせずに、使えるものは再利用する予定で、解体工事も大工さんにお任せしました。
最終的なおさまりまで考えて解体する現場では、残すものと撤去するものを仕分けするという意味でも、解体屋さんにお願いするよりも内装工事を担当する大工さんに任せたほうが良い時もあるのです。
中途半端な感じになっているように見えますが、これで解体工事は完了しています。

●マンションリノベーションの解体工事について考察しました。

下地の作成ー仕上がりを想像しながらー

造作カップボード
キッチンとカップボードはL型に配置する予定です。
まずはキッチンの水道、電気、排気、ガス等の設備を仕込みます。

このリノベーションデザインではキッチン廻りにもこだわっています。キッチンはオールステンレス製、壁はキッチンパネルではなくタイル貼で個性を出し、造作家具によるカップボードはデザインだけでなく使い勝手も重視して設計しました。

写真は設備の仕込みが済んで、下地もできた状態です。
現場がここまで進む前に、仕上がりのおさまりを検討して造作家具の発注を行い、タイル割も決めています。スムーズな現場の進行のために先の工程を意識した監理を行うのも設計の仕事なのです。

タイル貼と造作カップボードの搬入

造作カップボード
まずはタイルを貼ります。タイル割はタイルの厚みまで配慮して、コーナーの勝ち負けは事前に決めていた通りで、できるだけタイルをカットすることなく納めることを目指しています。
前もってタイル割を決めておくことで現場がスムーズに進みます。これは見た目だけではなく、現場の作業性にも配慮したデザインです。できるだけ単純なタイル割にすることで現場がきれいに仕上がります。

タイルを貼り終えたら、大阪の造作家具工場からカップボードを搬入します。
このカップボードは配膳カートが組み込まれていたり、デッドスペースへの挑戦が含まれていたりと機能的にも考え抜かれた複雑なデザインなので、既製品で形状の決まっているサンワカンパニーのステンレスキッチンのよりも先に搬入してしまいます。

先読みの現地調査によって、現場の梁型がなかったことになるような、おさまるべきところにばっちりおさまったカップボードになりました。

このカップボードは縦に3分割で扉をつけているように見えるのですが、右側の扉はキッチンとレンジフードを取り付けるので開けることができません。FIXにしています。L形に配置したキッチンの角って、どうしてもこういうデッドスペースが生まれがちなのですが、この収納のデッドスペースの有効利用は永遠の課題です。

●カップボードで考えるキッチン収納のデッドスペース、収納のデッドスペースは永遠の課題です。

今回は真ん中下の扉を配膳カートとして引き出すこと、デッドスペースの奥からは引き出しを作ることで、隅々まで収納として利用することができるようになっています。
この現場だけではなく過去にさかのぼっても多くの検討を繰り返した結果なのですが、最終的には使い勝手の良いカップボードが出来上がりました。

普段、収納はできるだけ単純に設計するように心掛けています。
この造作カップボードも基本的な構成は引き出しや扉の中は可動棚板が付いているぐらいで、シンプルな箱です。
決まったものを収納する場合、ある程度はそのもののサイズに合わせるのですが、収納物を限定したり、小物用のスペースを作ったりしてしまうよりも、後からカスタマイズしながら使う方が、新しい収納物が増えたときにより柔軟性を持ち使い勝手が良い収納になることが多いからです。
収納する道具も日々変わる可能性がありますから、長い目で見れば収納物を固定したデザインでは対応しきれないので、シンプルな形状を提案しています。

今回製作したカップボードでは左下にゴミ箱を入れる引き出しを作っているのですが、そのごみ箱のサイズと、キッチンのカウンターに合わせた作業台の高さから全体の形状を決定しました。サイズの決定の根拠は、あえてこの程度にしています。
作業台には作業面を照らすように間接照明を設けています。

写真のように工事中は目立っているカップボードですが、壁仕上のクロスに合わせて白いメラミンで仕上げたカップボードは仕上がると空間に溶け込んで、タイルとステンレスキッチンの引き立て役に回ります。
主役ではありませんが、多くのこだわりが詰まったカップボードが搬入・設置されました。

●カップボードで考えるキッチン収納のデッドスペース、収納のデッドスペースは永遠の課題です。

オールステンレスキッチンの搬入

マンションリノベーション
続いてステンレスキッチンの搬入です。
このキッチンはサンワカンパニーのステンレスキッチン、グラッド45シリーズです。
キッチンを選ぶ場合、完全なオーダーキッチンとして家具工場で作るか、サンワカンパニーのようなデザインに特化したメーカー、それともイナックスやパナソニック等に代表される使い勝手に特化したメーカーを選ぶかという大きく3つの選択肢があると考えています。

ここではデザインと機能の間を取ってサンワカンパニーのステンレスキッチンを導入しました。天板は傷が目立たないようにステンレスのバイブレーション仕上としています。
デザインとの中間とはいってもこのキッチンにはドイツのキッチン機器メーカーGAGGENAU(ガゲナウ)の食洗機を収めることができます。
このドイツのメーカーの食洗機の特徴は容量が大きいことと、扉がフロントオープンでとても使いやすいことです。国産メーカーでフロントオープンの食洗機はリンナイで出ていたと思いますが、ほとんどの食洗機が上から食器を出し入れするスライドオープンになっています。

食洗機についてはまた詳しく解説しますが、注文住宅でキッチンを作るなら、食洗機を選ぶなら『フロントオープン』という言葉を覚えておいてください!!

●注文住宅で無垢カウンターのオーダーキッチンを作りました、木製カウンターのメンテナンス方法も含めて紹介しています


見せるキッチンとしてレンジフード、吊戸棚もキッチンと同じくステンレスで統一しました。
床と壁を杉無垢材で仕上げたのと対照的に、ステンレスのキッチンは強いインパクトを与えてくれるはずです。
LDKでその全貌を現し、印象的な姿を見せてくれるのも壁付けキッチンの特徴だと思います。
壁付けキッチンの魅力わかっていただけたでしょうか(笑)

執筆者略歴

[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の企画・デザイン・設計及び監理、中古住宅やマンションのリノベーション、オリジナル家具のデザイン・製作等を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選

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