兵庫県明石市で、ある小さな飲食店を施工したときに、デシャップカウンターのデザインについて考えさせられました。
料理、食器、カトラリーやおしぼり等の小物といった多くのものが集まってくるデシャップカウンターは、飲食店の中でも重要度の高い場所です。当然店舗によって求められる機能も様々です。
オープンしてみて気付くこともあります。 DIYの他、時には造作家具を使って、少しずつブラッシュアップしながら完成させていくしかないのかもしれません。
デシャップカウンターとは
『デシャップ』とは、飲食店の厨房でつくった料理をホールスタッフに受け渡す場所のことをいい、『デシャップカウンター』とは、厨房と客席の間で料理の受け渡しを行うカウンターのことをいいます。
『デシャップ』の語源は英語の「Dish up」で「盛り付ける」というような意味を持っています。
『デシャップ』の語源は英語の「Dish up」で「盛り付ける」というような意味を持っています。
デシャップの役割
『デシャップ』は厨房スタッフとホールスタッフのやり取りが頻繁に行われる場所になる上に、小さい店舗だと食器を下げてくる場所も兼ねることが多くなるので、人や物が集まってくる大切な場所になります。
盛り付けた料理の最終チェックの場となり、下げてきた食器をスマートに洗い場へ移動させなければなりません。
盛り付けた料理の最終チェックの場となり、下げてきた食器をスマートに洗い場へ移動させなければなりません。
竣工時のデシャップカウンター
この飲食店舗の竣工時、『デシャップカウンター』は厨房の防水区画を巻き込むように地袋(床に接して設けられた扉付きの作り付けの戸棚)を設置し、上部にキープのボトルを並べる可動棚を設けて、その間の開口で厨房とホールがやり取りするというシンプルな構成でした。
作りこんでしまうよりもシンプルな方が、使い方の自由度が上がるということでこういうデザインに落ち着きました。あまりにも至れり尽くせりの空間を造作家具でつくってしまえば、その機能から外れた使い方がしにくくなってしまうのです。
それならば一度使ってみてから、必要な機能を足していくほうが効率的です。
●この店舗の作品ページはこちらへ
作りこんでしまうよりもシンプルな方が、使い方の自由度が上がるということでこういうデザインに落ち着きました。あまりにも至れり尽くせりの空間を造作家具でつくってしまえば、その機能から外れた使い方がしにくくなってしまうのです。
それならば一度使ってみてから、必要な機能を足していくほうが効率的です。
●この店舗の作品ページはこちらへ
デシャップカウンターのブラッシュアップ
店舗がオープンしてから数か月がたったころ、オーナーから連絡がありました。
「デシャップカウンターに造作棚が欲しい」ということだったので、取り急ぎ店舗を訪れてヒアリングを行いました。
「デシャップカウンターに造作棚が欲しい」ということだったので、取り急ぎ店舗を訪れてヒアリングを行いました。
オーナーの要望
この店舗は客席の面積が21.15㎡(6.40坪)・テーブル席が16席と、それほど大きな店舗ではないのですが、扱うメニューが多くて、「盛り付けた料理を置いておく場所」、「下げてきた食器を置いておく場所」、「サービス用の備品を置いておく場所」と、それぞれのスペースを明確に分けて使いたい。
さらに、ピーク時に一時的に『デシャップカウンター』の上がいっぱいになってしまうために、空間を立体的に使って整理して物を置きたいという要望でした。
さらに、ピーク時に一時的に『デシャップカウンター』の上がいっぱいになってしまうために、空間を立体的に使って整理して物を置きたいという要望でした。
デザイナーからの提案
図面の青い線で描いたものは厨房区画の壁で、黒い線で描いたものは竣工当時の造作家具、赤で描いているものが今回提案した造作棚です。
当初連絡いただいた通り、『デシャップカウンター』の上に造作棚を置くことで空間を立体的に使えるようにします。
サービス用の備品をこの中に入れて、盛り付けた料理はその上に置いていきます。その横の空間は下げてきた食器を置くスペースです。
この店舗ではお好み焼きのお持ち帰りもやっています。『デシャップカウンター』の厨房側にはお好み焼きを焼く鉄板があります。その上にお持ち帰り用の容器を置く場所をつくることにしました。容器は発泡スチロールで軽いためにビス止め程度の取り付けで問題ありません。
最後に寸法を測って帰り、大阪の家具工場で職人と打ち合わせて製作開始です。
当初連絡いただいた通り、『デシャップカウンター』の上に造作棚を置くことで空間を立体的に使えるようにします。
サービス用の備品をこの中に入れて、盛り付けた料理はその上に置いていきます。その横の空間は下げてきた食器を置くスペースです。
この店舗ではお好み焼きのお持ち帰りもやっています。『デシャップカウンター』の厨房側にはお好み焼きを焼く鉄板があります。その上にお持ち帰り用の容器を置く場所をつくることにしました。容器は発泡スチロールで軽いためにビス止め程度の取り付けで問題ありません。
最後に寸法を測って帰り、大阪の家具工場で職人と打ち合わせて製作開始です。
製作から設置まで
後日大阪から家具職人が造作棚の設置にやってきました。
カウンター上の「造作棚」は開口枠の下端できっちりおさまり、上部の「持ち帰り用の容器棚」は、チリの付いた開口枠と厨房のキッチンパネルの見切り材のところが少しややこしかったのですが、開口幅いっぱいでおさまりました。
「造作棚」の厨房側は高温になる鉄板に面しているため、背面には不燃メラミン化粧合板を貼った上に、」営業中鉄板に火をつけるとき、アルミカバーを立ててもらっています。熱対策はこれでだいじょうぶです。
カウンター上の「造作棚」は開口枠の下端できっちりおさまり、上部の「持ち帰り用の容器棚」は、チリの付いた開口枠と厨房のキッチンパネルの見切り材のところが少しややこしかったのですが、開口幅いっぱいでおさまりました。
「造作棚」の厨房側は高温になる鉄板に面しているため、背面には不燃メラミン化粧合板を貼った上に、」営業中鉄板に火をつけるとき、アルミカバーを立ててもらっています。熱対策はこれでだいじょうぶです。
まとめ
造作棚の設置が完了して使い勝手がよくなり、満足頂いています。
今回はアフターケアのサービス工事として、家具職人の日当と材料代はいただきますが、デザイン料や経費なんかはいただいておりません。金額も安く抑えられたのではないでしょうか。
引き渡し後もよい店舗になるようにご協力させていただいております。
●大阪、神戸、京都等の近畿圏を中心にオーダー家具のご相談をお待ちしています。
今回はアフターケアのサービス工事として、家具職人の日当と材料代はいただきますが、デザイン料や経費なんかはいただいておりません。金額も安く抑えられたのではないでしょうか。
引き渡し後もよい店舗になるようにご協力させていただいております。
●大阪、神戸、京都等の近畿圏を中心にオーダー家具のご相談をお待ちしています。
執筆者略歴
[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の企画・デザイン・設計及び監理、中古住宅やマンションのリノベーション、オリジナル家具のデザイン・製作等を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の企画・デザイン・設計及び監理、中古住宅やマンションのリノベーション、オリジナル家具のデザイン・製作等を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選