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ZEH(ゼッチ)住宅とは?メリットとデメリットに配慮して導入を検討しましょう

ZEH(ゼッチ)住宅とは?メリットとデメリットに配慮して導入を検討しましょう

ZEH(ゼッチ)住宅とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略語でエネルギー消費がゼロになる住宅のことです。

人の生活には電気やガスを使います。しかし、住宅を高気密高断熱にするなど消費エネルギーを抑える工夫をすること、太陽光パネルなどの再生可能エネルギーを生み出すことによって、その消費エネルギーよりも上回るエネルギーを創出しようというのがZEH住宅です。

言いかえれば、ZEH住宅は断熱、省エネ、創エネによって、使うエネルギー以上にエネルギーを生み出さないといけないので、建築の省エネ性能が求められるだけではなく、太陽光発電を中心としてエネファームやエコウィル、蓄電池などの再生可能エネルギーを生み出す設備の導入が必要になります。

ZEH住宅の認定基準

外皮性能基準を満たす

外皮平均熱還流率UA値、冷房機の平均日射熱取得率ηAC値が基準を満たすこと。
これらの値は市町村ごとに細かく分けられた地域によってきめられていて、大阪市の場合は地域6に分類されるのでUA値0.6以下、ηAC値2.8以下となります。

外皮平均熱還流率UA値とは、屋根、外壁等の外部に触れる部分からどれだけの熱が外に逃げるかということを示す数値で、低いほど断熱性能が高くなります。
冷房機の平均日射熱取得率ηAC値とは、太陽の熱をどれくらい取り入れるかを現す数値で、低い方が省エネになります。
暖房機の平均日射熱取得率ηAH値はZEH基準では指定されていません。

一次エネルギー消費量20%削減

冷暖房、換気、給湯、照明による一次エネルギーを太陽光発電等の再生可能エネルギーを考慮せずに基準から20%以上削減すること

再生可能エネルギーの導入と、それを加えて一次エネルギーの100%以上削減

太陽光発電を中心とした発電設備を導入することで電気を生み出し、一次エネルギーを100%以上削減すること

ZEHの種類

ZEHには段階的に性能を引き上げたり、引き下げたりした基準をもついくつかの種類があります。
ZEHより性能を上げていくのは下記2種類

[ZEH+]
ZEHの基準を満たした上で、一次エネルギー消費削減を5%増の25%とすること
さらに、「外皮性能UA値のさらなる強化」「高度エネルギーマネジメント(家のエネルギー消費をモニター画面などによって確認できるシステム)の導入」「電気自動車の充電設備の設置」の3項目のうち2項目以上を採用すること

[次世代ZEH+]
ZEH+の基準を満たしたうえで、
「蓄電システム」「V2H充電設備(電気自動車に蓄電された電気を住宅でも使用できるシステム)」「燃料電池」「太陽熱利用温水システム」「太陽光発電システム10kW以上」の5項目のうちいずれか1項目以上を採用すること

ZEHよりも性能を下げたものは下記2種類

[Nearly ZEH]
ZEH基準から再生エネルギーを加えた一次エネルギーの削減を100%以上から20%以上へ引き下げる

[ZEH Oriented]
Nearly ZEHの基準から一次エネルギー消費量20%削減を除く

それぞれに初期投資の費用も異なり、補助金の金額も異なるのでどこまでの性能を持つ住宅にするのかよく検討しましょう。

ZEH住宅にするメリット

資源エネルギー庁のサイトにはZEH住宅にするメリットが3つ紹介されています

・経済性
高い断熱性能や高効率設備の利用によって、月々の光熱費を安く抑えることができます。
太陽光発電などの創エネについて、売電を行った場合は収入を得ることができます。

・快適・健康性
高断熱の家は、室温を一定に保ちやすいので、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な生活が送れます。さらに、冬は、効率的に家全体を温められるので、急激な温度変化によるヒートショックによる心筋梗塞等の事故を防ぐ効果もあります。
特に冬ですね、主に風呂上がりの脱衣室、さらに廊下やトイレの室温を高めることでヒートショックによる事故を防ぐことができるということです。

・レジリエンス
台風や地震時、災害の発生に伴う停電時においても、太陽光発電や蓄電池を活用すれば電気が使うことができ、非常時でも安心な生活を送ることができます。
消費よりも生み出すエネルギーのほうが多いので当然ですが、創エネのシステムが壊れない限り、災害時でも日常に近い生活を送れます。

確かにZEH基準を満たした住宅ならば、これらのメリットを実現することは可能です。
ただし、これらのことは初期投資とメンテナンス費用がかかるというデメリットのことも考慮して判断する必要があります。

ZEH住宅にするデメリット

・経済性について、イニシャルコストとランニングコストを比較する必要があります。
・快適、健康性について、室温を一定に保つ工夫はいろいろあると思いますので、その方法を吟味する必要があります。
・レジリエンスについて、創エネシステムが壊れないという条件付きと、ライフラインの復旧にどれだけ時間がかかるのかといったこと、災害といった特殊な状況がどれくらいの割合で起こるのかといったところを合わせてバランスよく検討しないといけないと思います。

ZEH住宅にするデメリットはコストです。
初期費用はもちろん、メンテナンス費用も必要になる上に、耐用年数にも配慮して選ばないといけません。
また、主な創エネシステムとして、太陽光パネルが思い浮かびますが、エネルギー創出量は天候や屋根の向き、周辺の環境に影響を受けます。
その上、売電価格は減少傾向にあることも事実です。将来の売電価格を予想することは難しいですが、シミュレーションが必要ですね。

次にあげる補助金の額とも合わせて、ZEH住宅にすることで、住宅建築やメンテナンスのコストがペイできるかどうかが重要になってくると思います。

ZEH住宅の補助金

[ZEH] → 55万円 +蓄電池システムの導入により追加補助有り
[ZEH+] → 100万円 +蓄電池システム等の導入により追加補助有り
[次世代ZEH+] → 100万円 +蓄電池システム等の導入により追加補助有り
住宅建築の初期投資にかかる費用に比べると貧弱なイメージを持ちますが、、、
余ったエネルギーの売電でどこまで補えるかではないでしょうか?

2022年度の規定ですが、[ZEH] [ZEH+]は環境省、[次世代ZEH+]は経済産業省の管轄となっているようでそれぞれ応募期間や交付期間が異なるようです。
ただし、どちらも先着順で交付後でなければ着工できないところは共通しています。
募集も一回で終わりではなく、○次公募と引き続いているので着工時期とあわせていつ公募するかタイミングも重要になってきます。


建物の性能と見比べて、ZEH認定を受けるかどうか、住宅設計者によく相談して検討しましょう。

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