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住宅のトイレの最適な広さを考える

住宅のトイレの最適な広さを考える

住宅設計といえば多岐にわたる大きなもので、なかなか全体像をつかみにくいものですが、
ここではトイレという限られた小規模な空間を突き詰めて考えてみます。
しかし、小空間といってもその広さを決めて、入り口の建具を選び、便器や手洗器を選び、トイレットペーパーや掃除道具等の収納はどうしようか・・・と多くの悩み事があります。
一つの記事では解決しきれないので何回かに分けてまとめていくので気長にご覧ください。





下の写真は910mmを基本とした格子状に柱を配置する木造戸建住宅とスケルトン状態にできるマンションの住戸内のものです。
両者のこのつくりの違いがトイレの基準となる広さに影響してくるのです。
それでは、トイレの設計について考えていきましょう。

住宅のトイレの最適な広さ

基準となるトイレの広さ

住宅のトイレの基本サイズ
一般的なトイレの広さはどれくらいなのでしょうか?
住宅の場合、木造戸建て住宅とマンションとでやや基準となる寸法が異なります。
なぜそうなるのかといえば、それはマンションと戸建て住宅の構造の違いにあります。

図を参照してください
多くの木造戸建て住宅は尺貫法による910mmを基準としたスパンを基に柱が配置され、壁が配置されています。そのため柱芯でW910 D1820mm、内法寸法W780 D1690mmという0.5畳サイズのトイレが基準となります。

それに比べて一般的な鉄筋コンクリート造のマンションでは、住戸内に柱や構造壁はありません。
木造戸建て住宅のように柱に制限されることなく自由に間取りを作ることができます。
そして、標準的な多くの分譲マンションでは内法寸法W800 D1400mmという約0.4畳サイズのトイレが基準となっています。

トイレのプランを考えてみる

トイレのレイアウト例
構造の影響を受けないマンションリノベーションでは、トイレ周辺の設備配管や建築主の体の大きさやトイレに対する考え方などによって、自由なプランを組むことができます。
なので、ここでは構造グリッドに影響される木造戸建て住宅でトイレのプランをいくつか考えてみたいと思います。

当事務所では設計初期段階は910mmを4分割したグリッドをベースにプランを作成しているので、227.5mmを最小単位として木造の基準のトイレのレイアウトを検討してみましょう。

まず基準となる奥行き1690mmですが、少し広すぎるので1スパン227.5mm縮めてみましょう。
奥行き1462.5mmとなり、便器に座ったままでも扉に手が届くので、鍵をかけ忘れたときでも座ったままで鍵まで手が届くサイズです。
ここからさらに幅を1スパン広げてみると、手洗いカウンターをゆったり設置することができます。
手洗器の下には、給排水菅があって収納量が限られてしまいます。カウンター廻りにはトイレットペーパーやタオル、掃除道具などの収納ができるので、トイレの上部に吊戸棚をつける必要がなくなります。天井もすっきりして間接照明等でおしゃれに見せることもできるでしょう。
また、手を洗うときに横にカウンターがあれば便利ですよね。

他にも長方形の平面に縛られずに、手洗器の周りだけをへこまして、反対側の部屋は飾り棚なんかに使うこともできます。ブロックプランから次の段階に進むところで、こういったシンプルなプランに肉付けしていきます。

まとめ

トイレを中心とした水廻りの実際の設計の例です。
体のサイズを基に作られた、尺貫法。これを基準とした住宅のトイレの寸法は、様々な空間に応用が利きます。
(910mmは3尺ですね)

もちろん、これは住宅だけではなく店舗やオフィス等他の用途の空間のトイレにも当てはまることです。
鉄筋コンクリートや鉄骨造の建物に入ることが多い店舗やオフィスは、マンションのように構造から解放されて自由にデザインすることができます。

今後は
・便器・手洗器の選び方、
・トイレの入口の建具の選び方、
・車いすで使用できるトイレの寸法
等についても考えをまとめてみようと思います。


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