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無垢フローリングの特徴を解説してみた

無垢フローリング

床の仕上げ材のことを考えてみましょう。
どなたに聞いてみても住宅の床仕上げの主な素材としてフローリングがあげられると思いますが、このフローリングにもいくつかの種類があることは御存じでしょうか?
今回はフローリングについて考えてみようと思っていますが、住まいづくりにおいて材料の質感やメンテナンス性、予算等に応じてあなたに合ったフローリングを選ぶことが大切になってきます。

フローリングは大きく分けると、無垢材・積層材(突板仕上)・積層材(プリント仕上)の3種に分類されると思います。この分類を基準にフローリングの選び方について考えていきたいのですが、今回は無垢フローリングの特徴について解説していきたいと思います。

無垢フローリングとは?

複合フローリングのように下地材の上に仕上材を貼りつけたものとは違い、無垢フローリングは、天然の木から切り出した一枚板のフローリングです。
多くの樹種の無垢フローリングがあり、それぞれの特性が活きる素材です。設計者やフローリングの専門家と話しあい、生活スタイルや好みに適した樹種を選んでください。1階と2階(LDKと個室)で異なる樹種のフローリングにすることもあります。

木の暖かみや柔らかさを感じることのできる上に、呼吸をしている無垢フローリングは調湿や断熱効果も高く、家の中で裸足で過ごすことの多い日本人にとっては生活を豊かにしてくれるフローリングとして人気があります。

樹種による特徴の違い

無垢フローリングは木材をそのまま切出して使うため樹種によってその特徴が左右されます。
例えば杉やパインなどは柔らかく優しい足ざわりになりますが調湿による木材の収縮が大きくなります。フローリングの隙間が空いたりしやすくなるということです。
反対にナラやクリ等の固い材料では落ち着いたシックな雰囲気を作りやすく、収縮が小さいために隙間が空きにくくなります。

もちろん樹種によって金額も異なりますが、一般的には杉やパインよりもナラやクリ等のほうが高額になります。
杉やパインは一番安い無垢フローリングといっていいと思います。無垢フローリングは樹種によって金額の差が大きく、選ぶものによっては積層フローリングよりも安くなる場合もあるので、サンプルを取り寄せたりして素材の特徴と価格とをしっかりと調べて検討しましょう。

無垢フローリングのメリット

木材本来の良さを味わえる

木の素材感を楽しむなら断然無垢フローリングです。
一枚板なので樹種による素材自身の特徴がより強く現れます。同じ木から切り出したとしても、同じ木目のものは一つとしてありませんし、天然素材としての暖かさを感じることができます。

無垢フローリングの断面は、複合フローリングとは違い一枚板の為そのままで見せてもおしゃれです。複合フローリングなら金物で隠さなければならない小口を、無垢フローリングでは、ひとつ部材を省いてスッキリとおさめることができるのです。

経年変化を楽しめる

無垢フローリングは、竣工当初ピカピカで見た目にも木目が美しく、とてもいい木の香りがします。
しかしこれが時を経るにつれて、傷がついたり凹んだりと表情を変えていきます。長期間愛された無垢フローリングの雰囲気は他には変えることができません。
寺や神社の柱や床を思い出してください。手入れの行き届いた無垢材はとても趣があります。数十年後、自宅のフローリングが他では見れない独特の個性を持った表情を持つ事を想像しながらメンテナンスです。時には家族で床を磨きましょう!

調湿効果によって快適に過ごせる

無垢フローリングは木が持つ機能をそのまま発揮してくれます。
木が持つ機能の一つに調湿作用があります。湿度が高ければ水分を吸い、湿度が低い時には水分を放出して室内を快適な湿度に保ってくれるのです。
じめじめした夏には無垢フローリングが水分を吸収して部屋の湿度を下げ、冬は水分を放出して乾燥を防いでくれるので、部屋の環境を快適に保つことができます。
もちろん結露も防いでくれるので、は差触りがとても良くて夏に裸足で歩いても床がべたべたするという事はありません。

冬でも冷えない

無垢フローリングは複合フローリングに比べてより多くの空気を含んでいます。
その為に断熱効果が高く、冬に裸足で歩いてもフローリングが冷たく感じません。無垢フローリングは素材が収縮する為床暖房には向いていないと言われますが、床暖房が無くても暖かいのです。

無垢フローリングのデメリット

樹種の違いによって金額が大きく異なったり、施工手間がかかる為にコストアップする他、膨張や収縮により寸法が変化する、表面に傷がつきやすい、紫外線による日焼け等の、経年変化が起こるといったところが無垢フローリングのデメリットと言えるのですが、経年変化を楽しむことができればそのデメリットの大半はメリットに変わります。

また、防音性能や床暖房には弱かったりするのですが、これも個別の対応で解決できる事でもあります。
無垢フローリングのデメリットを上げていきましょう

反りや隙間が生じる

無垢フローリングは、水分を吸収したり放出したりするので調湿効果があります。しかしこの機能によって、フローリングが伸縮するので材料が反ったり隙間があいたりするのです。
元々含水率の少ない良く乾燥させられた材料を使ったり等、適切な処理を行っておけば大きなトラブルにはなりませんが、几帳面な方は注意が必要です。

傷つきやすい

樹種にもよりますが、無垢フローリングは傷つきやすいです。できるだけ固い材料を選べばましにはなりますが、細かい傷は付きます。
しかし、傷つきやすく凹みやすいのですが、修復もしやすいのが無垢フローリングです。
傷がつけばやすりがけで削り取り、凹んだ所には水をかけておくと天然木の膨張する性質によって膨らんできます。
また、傷も経年変化の味わいの一つとなります。傷や凹みも含めて愛してください。傷の付いていない無垢材は逆に不自然にも思えます。

水に弱い

無垢フローリングは水に弱いです。
水分を吸収しやすく、濡れたら膨張や反りが起こりやすいのです。濡れたらすぐに乾いた布でふき取りましょう。濡れたままにしておくとシミになったり菌が繁殖する原因にもなります。
また、油も無垢フローリングには良くないのでキッチン廻り等は特に注意が必要です。

無垢フローリングの仕上 -浸透系塗料と塗膜系塗料-

無垢フローリング
無垢フローリング材はメーカーから送られてくる材料が塗装済みのものと無塗装のものがありますが、無塗装のものでも施工後に塗装するのが一般的です。
塗装済みのものに比べると無塗装のものは色が自由に選べるところがいいのですが、現場で塗装の工程が増えるので材料代の差を差し引いても少し価格が高くなりがちです。

塗料は浸透系の塗料と塗膜系の塗料とに大きく分かれます。
浸透系の塗料は木の中まで浸透するタイプの塗料で、オイルやワックス等がそれに当ります。浸透系のタイプの塗料は木の質感を損なわない仕上げになるのですが、汚れや傷がつきやすいというデメリットがあります。
塗膜系の塗料は木の表面に塗膜を作るタイプの塗料で、ウレタン塗装等がそれに当ります。
塗膜によって木をコーティングするので浸透系塗料に比べて汚れに強いのですが、その塗膜の為に木の質感が薄れてしまいます。

せっかくの無垢材なのでできれば浸透系の塗料で仕上げて質感を楽しみたいところです。

無垢フローリングのメンテナンス

次に無垢フローリングのメンテナンスについてです
自然素材であるために傷がつきやすく経年変化が伴う無垢フローリングですが、適切にメンテナンスを行えばその経年変化も楽しむことができます。

日常のメンテナンスですが、塗膜系塗料で仕上げた場合は特別な手入れは必要ありません。
日々の清掃を行いながら年に一回程度のワックスがけぐらいでしょうか。ただし、傷や汚れが付きにくいのが売りの塗膜系塗料ですが、傷がついてしまった場合は自分で補修するのは難しく、気になるようなら部分的な張替が必要です。

当事務所では、無垢フローリングの質感を大切にするために浸透系の自然塗料をお勧めしています。
浸透系塗料で仕上げた場合の手入れも掃除機をかけたり乾拭きしたりといった日々の清掃を行いながら、塗料メーカーのメンテナンス方法に従って定期的に汚れを落としたりワックスをかけたりします。
あるメーカーのメンテナンス方法の例ですが、1~3か月に1回程度メーカーのメンテナンス製品を用いて水拭きし、半年から1年に1回程度は軽く同じメーカーのワックスをかけます。一般的な合成樹脂ワックスはフローリングの表面に幕を張り木本来の質感を損なってしまうので使用しないでください。

最後に

無垢フローリング
手入れを重ねたフローリングは貼りたてのころとは違い、ついた傷も取り込んで古いお寺の床のように趣のある雰囲気に変わってきます。
こだわりのデザイン住宅を建てるのなら、せっかくなので家族みんなでメンテナンスも楽しんで無垢フローリングの良さを引き出していけたらいいですね。


無垢フローリングの施工の様子はこちらへ

●マンションリノベーションで床と壁に無垢フローリングを貼ってみた

執筆者略歴

[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の企画・デザイン・設計及び監理、中古住宅やマンションのリノベーション、オリジナル家具のデザイン・製作等を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選

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