兵庫県明石市で設計した注文住宅で、ちょうど外壁の窯業系サイディングの施工中に現場を訪れたので工事の様子を確認してきました。
●窯業系サイディングとは?注文住宅の外壁仕上材を比較してみた
窯業系サイディングには防水性能がないので、構造躯体の外側に透湿防水シートを張った上から通気層を設けて張り付けます。
※通気層とは湿気などを排気して、常に乾燥状態を保ち、結露や構造材の劣化を防ぐ役割を担います。
この通気層なのですが、構造躯体とサイディングの隙間を通常15mmほど取って空気が流れる層をつくります。躯体から浮かしてサイディングを張るのですが、金物で通気層をとる方法と、この現場のように胴縁で通気層をとる方法があります。
胴縁で組む場合は材料と手間がかかりますが、透湿防水シートがピンと張って通気層がふさがりにくくなる上に、外壁の剛性が高くなるので経年によりサイディングが歪みにくくなるといわれています。
これには別に根拠になるような検査結果などの資料があるわけでもなさそうなので、図面では通気層をとることは指示しますが、そんなに大差はないと思うので金物か胴縁までは指示せず現場で決めています。
特にコーナーのところを見ていただくとわかりやすいのですが、縦に筋が入っています。
このサイディングは455mm×3030mmのサイズのものを横貼するので、上下には実があってお互いがきれいに組み合って嵌まるようになっています。
※実(さね)とは、材料のお互いの接合部に凹凸の加工をすることです。そのおかげで目違いを起こすことなく、隙間なく材料を並べることができます。
横には実がなく、切りっぱなしになっているのでシーリングで隙間を防ぐ必要があります。
今は黒く見えてすごく目立っていますが、サイディングの色に合わせたシーリング材を使うのでもう少しましな感じになります。
とはいっても、シーリングで埋めたところで縦の筋は気になるので、これが窯業系サイディングのデザイン面での欠点の一つと言えるでしょう。
最後に仕上がった様子も紹介しておきます。
比較的目立ちにくいほうだと思うのですが、やはり縦のラインは目につきます。こういうのはサイディングのデザインにもよって見え方が変わってくるので、サイディングを選ぶ時は目地まで考えてデザインを選びましょう。