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スペースブロック上新庄(設計C+A) -建築探訪-

スペースブロック上新庄(設計C+A) -建築探訪-

打ち合わせの目的地に行く途中に目の前を通るので、少し早めに出てちょっと建築探訪してきました。
大阪市東淀川区にある『スペースブロック上新庄』は、1998年竣工のC+A(シーラカンスアンドアソシエイツ)の設計によるワンルームマンションです。
竣工当時はメディアでも大きく扱われていた建築なのですが、このころ以降から建築家のデザインによる集合住宅が増えてきたようなイメージがあります。 雑誌『新建築』でも集合住宅特集なんかが組まれるようになっていきましたね。

スペースブロック上新庄

『スペースブロック上新庄』では1辺2.4mの立方体を積み木のように積み上げて空間を構成しています。設計者であるC+Aの小嶋一浩さんは、この一つの積み木の単位を『スペースブロック』と呼んでいて、それがそのまま建築のタイトルになったようです。
この『スペースブロック』を立体的に組み立てていくことで空間を作り、その中に機能を入れるというやり方で、複雑な形状で狭小な敷地を有効に利用しています。

一般的なワンルームマンションは床面積が20㎡になることが多いので、この『スペースブロック』3~4個の組み合わせで一室になる計算です。吹き抜けも入れるともう少し多くなるかもしれません。
平面図や断面図のような2次元の建築図面と比べて、『スペースブロック』はより立体的に空間を検討できるツールとして考えられています。

スペースブロック上新庄

外観が黒と白(コンクリートの色)に分かれているのですが、これはその空間の使われ方を示しているそうです。
『黒』はLDKや個室、水廻り、玄関のように使われ方が限定される空間、『白』は使われ方によって呼び方の変わるフレキシブルな空間とされています。 通常の建築では、『黒』の空間が多くなるのですが、『スペースブロック上新庄』では『白』の空間をできるだけ多くすることで、狭小地でも豊かな空間が作られています。

スペースブロック上新庄

この『スペースブロック』という考え方は、設計者のその後の仕事でも一貫して使われたものなのですが、初めてこの手法を用いたのが『スペースブロック上新庄』だったようです。
C+Aはこの後、集合住宅だけではなく、学校等の建築を多く手掛けているのですけど、そういった学校にも『スペースブロック』と『黒』と『白』という空間の考え方が反映されていくことになります。

25年も前の建築ですが、今も変わらずデザイナーズマンションとして使われているのはさすがです。 建築の寿命が来て解体されるまで、有効に利用されることを望みます。

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