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特定建築物の定期報告の通知が届いたら

特定建築物の定期報告の通知が届いたら

大阪市の簡易宿泊所のオーナーに、市役所から【定期調査報告書の提出について】という通知が届きました。
大阪市ではホテルや旅館等の特定建築物の定期調査は3年に1回なのですが、この建築物は2016年竣工で、検査済証の交付を受けた建築物は、初回の定期報告が免除されるので、竣工6年後の今回が初めてになります。

突然通知が来ても、何のことかわからず、どうしたらいいのかわからないオーナーも大勢いると思います。 定期検査報告書とはどういった制度なのでしょうか?
通知が届いた時の対応方法と一緒にまとめてみたのでご覧ください。

特定建築物の定期調査・検査とは?

特定行政庁等が定める特定建築物の所有者や管理者は、建築基準法第12条の規定に基づいて、定期的に一級建築士等の資格者による建築物や建築設備の定期調査・検査を行い、調査・検査結果の報告を行う義務があります。
この制度は、共同住宅、病院、ホテル、商業施設等の公共性の高い建築物が、竣工後もその建築物が適法に管理されていることの他、劣化状態をチェックし必要なメンテナンスを把握することで思わぬ事故を防ぎ利用者の安全を守り、地震や火災等の災害の被害の軽減、建築物を長持ちさせる為に実施されています。

調査・検査対象となる特定建築物

調査・検査対象となる特定建築物は、その建築物の所在地の特定行政庁によって異なります。
調査・検査の頻度も特定行政庁や建築物の用途によっても異なります。
特定行政庁から【定期検査報告書の提出について】という通知が届けば対象建築物である可能性が高いので、厳密に確認したい場合は直接特定行政庁に問い合わせるか、一級建築士事務所等の定期報告業務を請負っている設計事務所等に問い合わせてみてください。
通知が届かない場合もあるので気を付けておいてください。

定期報告の流れ

特定建築物の定期報告の通知が届いたら

報告年度には対象建築物の所有者に特定行政庁から通知が届きますが、届かない場合もあるので中止が必要です。(とは言っても、自己所有の建築物が特定建築物かどうかなんて専門家でなければ分からないので、なかなか注意のしようがないのですけど・・・)
通知が届いた対象建築物のオーナーは一級建築士事務所等の有資格者に調査・検査を依頼してください。
●当建築士事務所でも、定期報告のお問い合わせ・ご依頼をお待ちしています。

報告書フォームの作成

報告書に添付する必要書類や書式は自治体ごとに決められており、そのフォーム以外では受付できません。まずはその報告書フォームをまとめるところから作業を始めます。
初めてのご依頼の場合は調査・検査者(設計事務所)が報告書フォームを作成しますが、2回目以降のご依頼であればフォームを流用することでこの作業を省略できるので調査・検査費用も押えることができます。

現地調査・検査

報告書フォーム作成後、現地調査・検査を行います。
特定建築物定期の主な調査項目は、「敷地・地盤」「建物外部」「屋上・屋根」「建物内部」「建物の設備」「避難施設・非常用進入口」等です。
これらの箇所について、経年による劣化具合や機器の故障等を確認します。

建物の規模にもよるのですが、小規模な建物だと現地調査・検査は半日~1日程度で終わることがほとんどです。

調査・検査報告書の提出

現場調査・検査後1週間程度で調査・検査報告書が完成します。
報告者は建物のオーナーになるのですが、検査者として建築士事務所から特定行政庁に報告書を提出します。
当建築士事務所の所在地である大阪では【㈶大阪建築防災センター】で定期調査・検査報告書を受け付けています。

確認結果の通知

特定行政庁による調査・検査報告書の内容確認及び点検後、特定行政庁から報告義務者(建築物の所有者や管理者)に確認結果の通知があります。
「報告義務者に通知する」とは言っても、直接建物のオーナーに連絡があるのではなく、建築士事務所が特定行政庁との間に入ってやり取りします。建物のオーナーは建築士事務所からの報告をお待ちください。
この内容確認等は特定行政庁の作業になるので、作業完了までの日数があいまいなのですが、約1カ月程度かかるとお考えください。

その後の対応

必要に応じて、建築物の所有者は特定行政庁からの通知に基づき、調査した建築士事務所と相談しながら適切な建築物の保存に努めます。

現場調査・検査

定期報告による現場調査・検査は、大きく下記の4通りに分類されます。
【特定建築物の定期調査】敷地、一般構造、構造強度及び防火・避難関係を用途・規模によって調査・報告
【防火設備の定期検査】防火設備(常時閉鎖式の防火設備、防火ダンパーを除く)を検査・報告
【建築設備の定期検査】建築設備(機械換気設備、排煙設備、非常用の照明装置及び給排水設備)を検査・報告
【昇降機等の定期検査】エレベーター(ホームエレベーターを除く)、エスカレーター、小荷物専用昇降機(テーブルタイプは除く)を検査・報告

※建築基準法に基づく【定期調査・検査報告制度】は、消防法に基づく【消防用設備等点検】とは異なる制度なので留意する必要があります。

図面を基に建築基準法と照らし合わせながら法的な調査を行ったり、劣化状況の調査を行ったり、換気扇や排煙設備の風量、非常用照明装置の照度等を測定したりと、建築・設備それぞれの分野で専門の検査員が建築物を訪れて調査・検査します。

定期報告にかかる費用

定期報告にかかる費用は調査費、申請代行費、交通費等を含めて、建築・設備でそれぞれ約10万円前後となることが多いです。
当建築士事務所では見積作成は無料で行っております。よろしければお問い合わせください。
●当建築士事務所でも、定期報告のお問い合わせ・ご依頼をお待ちしています。

建築物の調査・検査を適正に行うことで、建築物を適法に保つことができ、劣化状況を把握することができます。
また、スムーズな調査を行う為にも確認申請図書や竣工図書をきっちりと保管しておくことが必要です。

建築物の安全を守るために設計事務所等の専門家とともに適切なメンテナンスを行い、思わぬ事故を防ぐとともに建築物の耐用年数を延ばす対策をしましょう。



●定期報告の相談はこちら、大阪・明石に拠点を持つ建築設計事務所

●お問い合わせフォーム

執筆者略歴

[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の企画・デザイン・設計及び監理、中古住宅やマンションのリノベーション、オリジナル家具のデザイン・製作等を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選

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