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金属系サイディングとは?注文住宅の外壁仕上材を比較してみた

金属系サイディングとは?注文住宅の外壁仕上材を比較してみた

今から15~20年ほど前の建築業界にかかわり始めたころから、外壁にガルバリウム鋼板を貼る住宅や店舗が増えてきたように思いますが、その頃はデザインに特化した建築家住宅に多く使われていた印象があります。
個人的には、そのころからガルバリウム鋼板の普及と共に金属系サイディングを採用する住宅が増えてきたように思います。

そんな金属系サイディングとは?
そのメリットとデメリットを比較してみました。

●窯業系サイディングの特徴
●左官壁の特徴
●木質系サイディングの特徴(coming soon)
●タイルの特徴(coming soon)
●ALC(軽量気泡コンクリート)の特徴(coming soon)

金属系サイディングとは?

金属系サイディングとは?
金属系サイディングとは、表面にメッキ塗装を施した金属板に、断熱材が裏打ちされた外壁仕上材です。メーカーによって様々ですが、表面の金属板には『塗装ガルバリウム鋼板』『塗装溶融亜鉛めっき鋼板』『アルミニウム合金塗装板』『塗装ステンレス』といったものが使用されます。
表面の金属板は薄く、材料の厚みのほとんどが芯材となる発泡性の断熱材なので、軽くて扱いやすい材料です。

金属系サイディングのメリット

断熱性能に優れている

表面の金属板に断熱材が裏打ちされているために、他の外壁仕上材に比べて断熱性能に優れています。
建物の断熱材と合わせて、金属系サイディングによって外壁の断熱性能を上げることで、室内の空気が外気の影響を受けづらくなり、一年を通して室内環境を一定に保ちやすくなります。
そのおかげで、エアコンの効率の高い省エネ住宅とすることができます。

耐震性に優れている

金属と聞くと重量が重そうに思うかもしれませんが、金属板はごく薄く金属系サイディングの厚みのほとんどは発泡性の断熱材によります。
そのため、窯業系サイディングや左官壁(モルタル壁)と比べると圧倒的に軽く、建物にかかる負荷も軽くなるので、地震の影響を受けにくくなります。
金属系サイディングの重量は、窯業系サイディングの約1/4と言われています。

施工が簡単で、メンテナンスの手間もあまりかからない

工業製品である金属系サイディングは品質を安定させやすく、軽量で加工性に優れているため、施工が簡単で工期が短く済みます。
重量が軽いので、リフォーム時に『カバー工法』で既存外壁の上から重ねて貼ることもできます。
また、表面にガルバリウム鋼板等の耐食性を高めた金属板を使っているため、強度が高く長期間美しい状態を保つことができます。このためにメンテナンスが楽で、その周期も長くなるのでランニングコストが安くすみます。

防水性能・耐凍害性能に優れている

表面が金属板なので、業系サイディングや左官壁(モルタル壁)と違い材料自体が水を通しません。
業系サイディングや左官壁(モルタル壁)だと、塗膜が劣化したところから外壁内に侵入した雨水が、寒い時期になると凍結・膨張することで外壁が傷んでしまう凍害が起こることがあります。凍害は特に寒冷地で起こりやすいのですが、水を通さない金属系サイディングでは凍害が起こりにくくなります。

耐火性能に優れている

金属サイディングには、耐火・準耐火性能を備えている防火サイディングがあります。
木造・鉄骨造等の建物の構造によりますが、耐火・準耐火建築物への対応が可能です。

金属系サイディングのデメリット

表面が傷つきやすく、傷ついたところから錆びてくることがある

耐久性が高い金属を使っているものの、金属には傷がつきやすいのです。
もちろん金属系サイディングの表面の金属板も例外ではなく、小石などが飛んできて傷がつくことがあります。
こういった傷が表面の塗膜を劣化させることになり、傷ついたところから錆が発生する原因になってしまいます。
傷や錆びを見つけた時にはすぐに修理しましょう。

酸性雨や塩害に弱い

金属系サイディングは、酸性雨や潮風に弱いです。
酸性雨を浴び続けると成分が溶け出し、劣化の原因となってしまいます。
また、海の近くでは潮風に当たり続けることで、金属が塩害の被害を受け錆びることがあります。
こういった被害を受けやすい、酸性雨の多い地域や潮風が当たりやすい場所の建築では避けたほうが無難かもしれません。

デザインのバリエーションが少ない

表面の金属板には、木目調・レンガ調・タイル調・石目調・ストライプ等の多くの色やデザインが各メーカーで用意されています。
ただし、窯業系サイディングと比べるとバリエーションは少なくなります。

金属系サイディングのメンテナンスとリフォーム

日常のお手入れ

金属系サイディングは日常のメンテナンスはあまり必要ありません。環境によって様々ですが、ある程度の汚れであれば雨で流れているのでしょう。外壁の汚れが気になる部分だけ重点的に水洗いしてあげる程度でいいと思います。
メンテナンスに手間がかからないことも金属系サイディングのメリットの一つです。

外壁リフォーム、塗装?貼替?

10年以上経過して表面の塗膜が劣化してきたら、直接金属板に雨水がかかり、錆の原因になります。
多くの場合、金属系サイディングの表面塗装のメーカー保証は10年になっています。新築後10~15年に一度を目安に様子を見ながら判断しましょう。

一回目の外壁修繕工事では、表面の塗膜は劣化していても、サイディング自体は使用可能である状態が想像されます。
『張替』に比べて『塗装』は半分ぐらいの費用で済みます。設計事務所や施工業者に相談してみてください。

金属系サイディングの寿命は30~40年程度と言われています。
外壁の劣化が進んでくる二回目以降の外壁修繕工事では、『張替』などの対応が必要になる可能性が高くなります。この時、軽量な金属系サイディングには『張替』だけではなく、既存外壁の上から重ねて貼る『カバー工法』と言われる方法も採用できます。
『張替』よりも『カバー工法』の方が安価にできるので、窯業系サイディング等の外壁の上からでも、『カバー工法』で金属系サイディングを貼ることもあります。
また、『カバー工法』は住みながらの施工が可能です。

主な金属系サイディングのメーカー3社

『アイジー工業』
・ガルバリウムのメッキ層が強く耐食性に優れているので長寿命です。塗膜・赤さびは最長20年、穴あきは最長25年の保証年数の商品もあります。
・ガルバリウムが流行り始めた初期のころから、スパン系のガルバリウムを扱いだしたので、『ガルボウ』『ビレクト』『ガルスパン』といったフラットやストライプ等の形状が多彩な上に、カラーバリエーションが豊富です。

『ニチハ』
・メーカーで扱っている窯業サイディングと同様に、『マイクロガード』等の雨水で汚れを洗い落とすセルフクリーニング機能が強い。

『旭トステム外装』
・ガルバリウム鋼板の3倍という耐食性を持つSGL鋼板を使い、
表面に超耐候性塗料用フッ素樹脂『ルフロン』をベースにした『セルフッ素コート』を塗布することで、優れた耐候性とセルフクリーニング効果を持つ金属系サイディング材です。 塗膜は変退色最大15年保証です。

金属系サイディングを採用するとき

金属系サイディングとは?

執筆者略歴

[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の企画・デザイン・設計及び監理、中古住宅やマンションのリノベーション、オリジナル家具のデザイン・製作等を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選

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