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注文住宅の基礎、ベタ基礎と布基礎について

注文住宅の基礎、ベタ基礎と布基礎について

基礎とは建築物からの力を地盤に伝え、安全に支える機能を持つ構造物です。
地盤と建物の構造体をつなぐ大切な役割を担っています。 木造住宅であっても直接地面に接する基礎部分は、湿気や劣化に強いRC(鉄筋コンクリート)造で造られることになります。

木造住宅で採用される2種類の基礎

●注文住宅の最初の工事は、基礎ではなく地盤改良工事です。こちらもご覧ください!



戸建住宅等で多く採用されている建築は、「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類です。その中でもほとんどの住宅に「ベタ基礎」が採用されています。それぞれの基礎の特徴を見ていきましょう。

基礎とは建築物からの力を地盤に伝え、安全に支える機能を持つ構造物です。
地盤と建物の構造体をつなぐ大切な役割を担っています。 木造住宅であっても直接地面に接する基礎部分は、湿気や劣化に強いRC(鉄筋コンクリート)造で造られることになります。

ベタ基礎を選ぶメリット・デメリット

ベタ基礎
ベタ基礎のメリット
・不動沈下が起こりにくい
・シロアリ被害を防ぎやすい
・湿気を遮断しやすい

ベタ基礎のデメリット
・布基礎に比べてコストが高くなる(あまり気にしなくてもいいかもしれません)
・部分的に強度を出しにくい

ベタ基礎とは立ち上がりだけでなく、底面全体に鉄筋コンクリートを打った基礎のことです。
上に載る住宅を面で支える為に耐震性が高いだけでなく、不道沈下が起こりにくく、底面に打たれた鉄筋コンクリートに遮られて白アリや湿気が上がってきにくくなります。
比較的軽くて白アリや湿気に弱い木造住宅にとってはたいへん有利な構造となります。

※不動沈下とは部分的に地盤が沈下することで建物が傾くことです。

布基礎を選ぶメリット・デメリット

布基礎
布基礎のメリット
・ベタ基礎と比べてコストが安く済む
・点で支えるので、ベタ基礎よりも部分的に強度が高くなる

布基礎のデメリット
・耐震性が劣る
・シロアリが侵入しやすい
・湿気がこもりやすい

布基礎とは古くから住宅に採用されてきた構造の基礎で、土台の下に「逆T字型」の形状をした鉄筋コンクリートを打ちます。
ベタ基礎よりも深くまで根入れ(基礎を地中に埋めること)することができ、部分的にはベタ基礎よりも高い強度を出すことができます。

部分的に高い強度を出すことができる為、主に木造に比べて重量のある鉄骨造に採用されることが多いのですが、凍結震度より深くまで基礎を根入れする必要のある寒冷地では、木造住宅でも布基礎が採用されることがあります。

木造住宅に適したベタ基礎の構造

[YMa]の拠点である大阪や兵庫、他の多くの寒冷地ではない地域で、構造計算を行わない場合の木造住宅の基礎にはベタ基礎が採用されることが多くなります。

ベタ基礎の構造は以下のように建築基準法で定められています。
・立ち上がり部分は、地上部分で300mm以上、厚さは120mm以上
・底盤の厚さは120mm以上
・根入れ深さは原則120mm以上とし、凍結震度よりも深く根入れすること

瑕疵担保責任保険設計施工基準による基礎の配筋
瑕疵担保保険の基礎の基準

当設計事務所では、建築基準法以外にも瑕疵担保責任保険設計施工基準を参考にしながら下記の仕様の基礎を推奨しています。
瑕疵担保保険の基礎の基準


立ち上がりの高さ

一般的な注文住宅のベタ基礎の地盤面からの立ち上がり高さは、建築基準法で定められているよりも高く、400mm以上はあることが多いです。
しかし、基礎の立ち上がりが400mmでは床下浸水では火災保険の水災補償が下りない可能性があります。
火災保険は水災補償を外すことで保険料が安くなるので、水災の心配のない地域では水災補償がもともと出ない設定にすることも有ります。
そんな場合は、わざわざコストアップをして、アプローチから室内までの段差を大きくしてまで、基礎を高くする必要はないかもしれませんが、水災が多い地域では火災保険の基準の45cm以上の立ち上がりがほしいところです。

立ち上がりの厚さ

立ち上がりの厚さは厚いほど構造強度は高くなります。
また、木造住宅では一般的に土台の大きさは□120が多く使われます。基礎の立ち上がりの厚さが120mmしかなければ、土台の配置にゆとりがなくなりぎりぎりになってしまいます。以上2点の理由から当設計事務所では立ち上がりの厚さは150を推奨しています。

根入れ深さ

建築基準法では根入れ深さは120mm以上ということになっていますが、当設計事務所の仕様では240mm以上根入れするようにしています。
根入れ120mmだと、底盤の下端とあまり変わらなくなってしまいますからね。

底盤

底盤の配筋と厚さは、瑕疵担保責任保険の仕様を基にしています。
専門的な話になりますが、基礎の短編方向スパンが4m以下になるように設計し、鉄筋はシングルで200mmピッチ、底盤の厚さは150以上としています。

防湿シート

防湿シート
ベタ基礎の下全体に防湿フィルムを敷き詰めて湿気対策をした上から底盤を打ちます。
湿気に弱い木造の構造体からできるだけ水を遠ざけます。

コーナーハンチ補強

コーナーハンチ補強
基礎のコーナーにハンチ補強をすることでより強度の高い基礎をつくることができます。
ハンチ部分にも鉄筋を入れて、専用の型枠を使いコンクリートを流しますが、専用の型枠を持っていない工務店だと手間がかかって、コストアップにつながってしまうかもしれません。

まとめ

[YMa]の拠点である大阪をはじめとして、寒冷地以外の地域で構造計算しない場合の木造住宅はほとんどベタ基礎を採用していると思います。
そういった現状を受けてベタ基礎を採用するという前提で注文住宅の基礎を解説してきましたが、今後は許容応力度計算による構造計算が主流になってくるかもしれません。
地盤が強かったりだとか、構造計算をした場合は布基礎を採用することもあるかもしれません。

構造計算をしない木造住宅であればベタ基礎が無難かもしれませんが、木造住宅といえばベタ基礎という一択ではなくて、状況に応じて柔軟に適した基礎を選びましょう。

執筆者略歴

[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の設計及び監理を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選

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