
大阪市で施工中だった飲食店舗のセントラルキッチンが竣工して引渡が完了しました。
施工中にも二転三転仕様がころころ変わっていたのですが、結局厨房の床は塗り床で塗膜防水、壁には一部タイルを貼ることになりました。 この現場ではセントラルキッチンということで厨房設備の費用と機能を重視してプロジェクトを進めてきました。
その厨房設備を実際のセントラルキッチンをモデルに解説します。通常の店舗にも流用できる内容になっていると思いますので、店舗を作ろうと思っている方や、店舗のメンテナンスが必要な方、ぜひご覧ください。
厨房床防水

このセントラルキッチンでは、キッチンの面積が広く、防水区画の面積が大きいことから比較的安価で短期間で施工できるといったメリットを持つウレタン塗膜防水を採用しました。
ウレタン塗膜防水とは、床の表面にウレタン樹脂製の塗料を塗布して乾燥させることで防水層をつくる工法で、安価で短期間で施工できる他にも複雑な下地形状にも馴染みやすいというメリットもあります。
しかし、シート防水やFRP防水に比べると、経年劣化に弱く耐用年数が5年程度と短くなります。
それでも、防水層が切れた場合のメンテナンスの方法は、既存の防水層の上から塗り重ねられるので、シート防水やFRP防水に比べると楽にできます。
ウレタン塗膜防水とは、床の表面にウレタン樹脂製の塗料を塗布して乾燥させることで防水層をつくる工法で、安価で短期間で施工できる他にも複雑な下地形状にも馴染みやすいというメリットもあります。
しかし、シート防水やFRP防水に比べると、経年劣化に弱く耐用年数が5年程度と短くなります。
それでも、防水層が切れた場合のメンテナンスの方法は、既存の防水層の上から塗り重ねられるので、シート防水やFRP防水に比べると楽にできます。
セントラルキッチンの給排気
この店舗はラーメンを中心とした中華料理を全般に扱うセントラルキッチンの為、仕込むメニューの種類が多く、厨房機器の種類も数も多くなっています。その為、ガスや電気の使用量も多くなり、厨房機器の発熱量もたいへん大きくなっています。
給排気量のバランス

発熱量が多くなるに比例して、フードの排気量も多くなります。
そこでまず必要になるのが排気量に比例する給気量を確保することです。
排気量に対して給気量が少ないと室内が負圧になってしまうことで以下のトラブルが起こる可能性があります。
・為扉付近で異音がしたり、扉が開けにくくなる。
・ドアや窓などの開口部から隙間風が入ってくる。
・フード周辺が汚れやすくなる。
・トイレや排水溝から異臭が入ってくる。
これらのトラブルを防ぐために適切な場所から外気を取り入れてあげる必要があります。
この店舗では、外壁面を構造躯体の梁からずらすことによって、空けた隙間で折上げ天井をつくり、そこからガラリを介して外気を取り入れています。
他にも外気を一度天井に送り込み、天井に分散配置したガラリから外気を取り入れる等、店舗によって様々な外気の取り入れルートがあると思います。
テナントの契約前に、建築士等の専門家と共に現地確認をしておきましょう。テナントによっては界壁に穴を開けることが許されなかったりすることもあり、特に用途変更されたテナントビルでは必要な給気量が確保できないこともあります。
そこでまず必要になるのが排気量に比例する給気量を確保することです。
排気量に対して給気量が少ないと室内が負圧になってしまうことで以下のトラブルが起こる可能性があります。
・為扉付近で異音がしたり、扉が開けにくくなる。
・ドアや窓などの開口部から隙間風が入ってくる。
・フード周辺が汚れやすくなる。
・トイレや排水溝から異臭が入ってくる。
これらのトラブルを防ぐために適切な場所から外気を取り入れてあげる必要があります。
この店舗では、外壁面を構造躯体の梁からずらすことによって、空けた隙間で折上げ天井をつくり、そこからガラリを介して外気を取り入れています。
他にも外気を一度天井に送り込み、天井に分散配置したガラリから外気を取り入れる等、店舗によって様々な外気の取り入れルートがあると思います。
テナントの契約前に、建築士等の専門家と共に現地確認をしておきましょう。テナントによっては界壁に穴を開けることが許されなかったりすることもあり、特に用途変更されたテナントビルでは必要な給気量が確保できないこともあります。
暑くなりがちな厨房でエアコンをどうやって効かす?

給排気量が多くなり、空気の入れ替えが激しい空間ではエアコンが効きにくくなってしまいます。
中華料理店の厨房でアルバイトしたことのある方なら分かると思いますが、厨房内の気温はかなり上がります。そんな過酷な環境の中で、エアコンを効かすにはどうしたらいいのでしょうか?
これについては、残念ながら重飲食店の厨房では、通常の空調ではエアコンは効きません。
それでは、こういった空気の回転の早い飲食店の厨房ではどうしているのかというと、冷気を直接従業員さんの体に当てるように吹き出し口を計画します。
厨房機器の配置から人の立つ位置を想定して、特にコンロやフライヤー、ゆで麺機等の熱量の多い機器を中心として、少し首を振る冷気の吹き出し口を設置します。
天井から出ている蛇腹の筒がそれです。これによって冷気を直接体に当てることで体感温度を下げるしかありません。
でも、これの方法の空調でけっこう涼しく感じるものなのです。
中華料理店の厨房でアルバイトしたことのある方なら分かると思いますが、厨房内の気温はかなり上がります。そんな過酷な環境の中で、エアコンを効かすにはどうしたらいいのでしょうか?
これについては、残念ながら重飲食店の厨房では、通常の空調ではエアコンは効きません。
それでは、こういった空気の回転の早い飲食店の厨房ではどうしているのかというと、冷気を直接従業員さんの体に当てるように吹き出し口を計画します。
厨房機器の配置から人の立つ位置を想定して、特にコンロやフライヤー、ゆで麺機等の熱量の多い機器を中心として、少し首を振る冷気の吹き出し口を設置します。
天井から出ている蛇腹の筒がそれです。これによって冷気を直接体に当てることで体感温度を下げるしかありません。
でも、これの方法の空調でけっこう涼しく感じるものなのです。
セントラルキッチンの壁のタイル貼

このセントラルキッチンは、大阪に数店ある店舗に調理した食材を運んだり、EC通販に対応する為だけではなく、直接店舗に来ていただくお客様にも商品を提供します。
その為、お客様の目に触れるのでキッチンのインテリアも少しこだわりたいというオーナーの希望で、前面ステンレス貼の予定だった壁面の一部をタイル貼にしてみました。
清潔感のある白いタイルで前面ステンレス貼にするよりも冷たさが軽減された感じになっています。
タイルにも「磁器質」「陶器質」「せっ器質」と吸水率の違いにより分類されています。ここで採用した磁器質タイルは、吸水率が低くタイル自体は水や汚れに強く、油で汚れても拭けばきれいになります。
しかし、タイルにはタイル同士の隙間を埋める目地があります。この目地は基本的には汚れに弱いです。
近年、多様な色や機能を持った目地が増えています。水や油をはじくキッチン用の目地も開発されていますが、それにしても掃除に手間がかかります。
DIYでも施工可能な、タイルや目地についてはまた別の記事で詳しく解説します。
その為、お客様の目に触れるのでキッチンのインテリアも少しこだわりたいというオーナーの希望で、前面ステンレス貼の予定だった壁面の一部をタイル貼にしてみました。
清潔感のある白いタイルで前面ステンレス貼にするよりも冷たさが軽減された感じになっています。
タイルにも「磁器質」「陶器質」「せっ器質」と吸水率の違いにより分類されています。ここで採用した磁器質タイルは、吸水率が低くタイル自体は水や汚れに強く、油で汚れても拭けばきれいになります。
しかし、タイルにはタイル同士の隙間を埋める目地があります。この目地は基本的には汚れに弱いです。
近年、多様な色や機能を持った目地が増えています。水や油をはじくキッチン用の目地も開発されていますが、それにしても掃除に手間がかかります。
DIYでも施工可能な、タイルや目地についてはまた別の記事で詳しく解説します。
まとめ
ここまで飲食店舗のセントラルキッチンの設備について、実際の現場を基にして解説してきました。
この記事では防水と給排気設備を中心に解説しましたが、設備工事については最低限の仕様を担保しなければなりません。
設備の性能を担保するためには、それぞれの分野で専門業者による施工をすることが重要になります。予算や設備のグレードによって、その店舗に最適な仕様があります。設計者、施工者とよく話し合いながら、専門業者の意見も聞いて良い選択をしましょう。
給排水や電気やガス等、まだまだ他の設備もあるのですが、記事が長くなってきたのでそれはまた別の記事で解説することにします。
この記事では防水と給排気設備を中心に解説しましたが、設備工事については最低限の仕様を担保しなければなりません。
設備の性能を担保するためには、それぞれの分野で専門業者による施工をすることが重要になります。予算や設備のグレードによって、その店舗に最適な仕様があります。設計者、施工者とよく話し合いながら、専門業者の意見も聞いて良い選択をしましょう。
給排水や電気やガス等、まだまだ他の設備もあるのですが、記事が長くなってきたのでそれはまた別の記事で解説することにします。
執筆者略歴
[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の設計及び監理を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の設計及び監理を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選