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商業施設のテナント工事分類 ABC工事

商業施設のテナント工事分類 ABC工事

ショッピングモールや駅ビルなんかの大規模な商業施設の店舗工事は関わる業者の数が多くてたいへんです。
この現場は、駅ビルの1フロア全部の店舗がリニューアルされるので仮囲いもなく工事を進めることができましたが、その他の階は営業しながらの工事になります。
そのため施設の営業終了後から翌朝のオープン前までの間に工事を行います。施工時間に制限があるので工期が遅れないように工程をしっかり組んでおかないといけませんね。特に今回はフロア全部が一斉にオープンしますから遅れたら大変なことになります。

この記事では主にABCと別れる工事区分について解説したいと思います。

駅ビルともなると天井裏のダクト配管がすごいことになっています。エアコン、給排気とすべて一括で全館管理されているのでこういう感じになっているのですね。この設備を各々の店舗設計でまかなうことは無理です。
他にも火災報知器やスプリンクラー等の消防設備もビル側で一括管理されています。
なので、これらの設備はテナント側が雇った内装工事業者が施工することができません。ビル指定の業者に工事してもらうしかないのです。

ここで、工事の担当業者について少し説明しておきます。
一般的にはA工事、B工事、C工事と別れることになるのですが、それぞれにお金を出す人、施工業者が異なります。

A工事はビル側(大家さん)がお金を負担してビル側のゼネコンが施工します。
B工事はテナント側がお金を負担してビル側のゼネコンが施工します。
C工事はテナント側がお金を負担してテナント側が指定した内装業者が施工します。

A工事は本来そのテナント区画に備えられているべき設備工事になります
例えば、空調ダクトや非常照明、それにスプリンクラーや火災報知器等の消防設備も含まれます。これらが適法に配置された状態で引き渡されます。

B工事はA工事で設置した設備を変更する場合に発生する工事です。
客席に間仕切を作る為にスプリンクラーや火災報知器の増設が必要になったりした場合ですね。先ほど書いた空調の吹き出し口を増やす工事もB工事に分類されることが多いです。
そのためできるだけB工事が発生しないように設計するのですが、飲食店を作る場合はどうしても厨房が区画されます。そこへの消防設備等の増設は仕方がありません。

C工事は一般的にイメージされる内装工事です。
ただし、駅ビルの場合は不燃材料を使わなければいけなかったり、厨房区画は防火壁にしなければいけなかったりと制限は多いですけど、、、

工事の分類はだいたいこのようになっていますが、詳細な取り決めはビルによって様々です。
設計者によく確認してもらって、できる限りC工事が減るように設計してもらいましょう(笑)

このABC工事の分類の考え方は小さなテナントでも応用がききます。 小さなテナントの場合は明確に書面化されていないことも多いので、賃貸契約前に大家さんにやってもらうべき工事、テナント側でするべき工事をちゃんと線引きしておかないといけませんね。



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