BLOGブログ

大阪のレンタカー店で、カーポートとプレハブ物置を設置します。確認申請は必要でしょうか?

大阪のレンタカー店で、カーポートとプレハブ物置を設置します。確認申請は必要でしょうか?

大阪国際空港(伊丹空港)の近くのレンタカー店の駐車場に、テント屋根のカーポートとプレハブの休憩室を設置するための設計の依頼をいただきました。
現状はレンタカーがずらっと並んでいるところに、洗車用に鉄骨造のカーポート、その横にプレハブ物置を二台設置し、一つはオフィスとして、もう一つは倉庫として使用する予定です。

戸建住宅の駐車場でも同じですが、建築基準法上は屋根の無い部分に駐車する青空駐車では建築物とみなされませんが、屋根をかけた駐車場(カーポート)は『建築物』とみなされて一定の条件に当てはまる物を除き、原則として確認申請が必要になります。
また、プレハブ物置も一定の条件に当てはまる物を除き建築物となるので、原則として確認申請が必要になります。

住宅や店舗を新築した後、その建築物を使っているうちに必要性を感じてカーポートやプレハブ物置を設置する場合、確認申請が必要になるのか、ならないのか?判断に迷うことになると思います。
この機会に、カーポートやプレハブ物置の設置に確認申請が必要になる場合をまとめてみたいと思います。

確認申請が必要な建築物

まず最初に、確認申請が必要かどうかは、その建物が『都市計画区域内』にあるか『都市計画区域外』にあるかで条件が変わってきます。
『都市計画区域外』とは、都市計画法が及ばない地域で、都市づくりを計画しない地域です。つまり山奥等のあまり人がいなくて建物がほとんど建っていないようなところですね。
ほとんどの建物は『都市計画区域内』にあるため、『都市計画区域外』の解説は今回は割愛させていただこうと思います。

『都市計画区域』『準都市計画区域』『その他の都道府県が指定した区域』内で確認申請が必要な建築物は、
・建物を新築する場合
・増改築部分の床面積が10㎡を超える場合(防火、準防火地域では10㎡以下でも確認申請が必要です)
・一定以上の工作物
とされています。

今回のカーポート・オフィスの計画に当てはめて考えてみると、建築場所は防火・準防火地域以外の地域になるのですが、新築になるので床面積が10㎡以内だとしてもカーポートは確認申請が必要になります。
プレハブについては建築基準法上の『建築物』とみなされるかどうかが基準になります。

●このプロジェクトの竣工記事はこちらへ

カーポートに確認申請は必要か?

カーポートとは?

カーポートとは、屋根で日差しや雨・雪から車を守る壁のない車庫のことを指します。
多くの場合は、アルミ等の金属で屋根の骨組みを形成して、ポリカーボネート等の板による屋根を貼ります。
カーポートは簡易的なつくりに見えるため、建築確認申請が必要ないと思われるかもしれません。しかし、ほとんどのカーポートの設置には建築確認申請が必要になることがあるので、市役所や建築設計事務所等に確認が必要です。

カーポートの確認申請が不要になるケースとは?

カーポートの増築に確認申請が必要になる条件とはどういうものがあるのでしょうか?
以下の二つの条件のいずれかに当てはまるものは確認申請の手続きは必要ありません。
読んでいただければわかるのですが、ほとんどのカーポートは設置時に確認申請が必要になります。

申請不要なカーポート① -『建築物』とみなされない-

まずは、カーポートが建築基準法上の『建築物』とみなされることが挙げられます。
カーポートが『建築物』とみなされるには
・屋根がついていていること
・屋根を支える柱が基礎等によって地盤に固定されていること
の二つが挙げられます。
一般的なカーポートで、この二つの条件に当てはまらないものはないので、ほとんどのカーポートは建築基準法上の『建築物』となります。

申請不要なカーポート② -10㎡以下の増築-

『建築物』とみなされたとしても、確認申請の手続きが必要ないこともあります。
それは、防火・準防火地域以外の地域で床面積が10㎡以下の増築の場合です。
ほとんどのカーポートは10㎡以上の床面積があるので、この条件に当てはまるカーポートはあまりありませんが、増築に限って10㎡以下であれば確認申請の手続きは必要ありません。
(もちろん今回の計画は新築なので面積に関係なく確認申請は必要です。)

ただし、この場合でもカーポートは『建築物』としてみなされるので、確認申請時の行政のチェックはありませんが、建築基準法等の法令を遵守する必要はあります。
建築士事務所等に相談して計画を立てましょう。

まとめ

一般的な駐車場は5m×2.5m、狭くても5m×2.2m程度は取ります。軽自動車専用だと奥行きが4mあれば十分なので床面積10㎡以内に抑えることはできるかもしれませんが、なかなか珍しい事例だと思います。
また、屋根がなかったり、柱を地盤に固定しないというのもあまり考えられないので、見ていただいたようにカーポートで確認申請が不要になるケースはほとんど考えられません。

新築時にカーポートを計画している場合はいいのですが、後々増築する場合は建築士事務所等に相談して、違法建築にならないようにしましょう。

プレハブ物置の設置に確認申請が不要になる条件

プレハブ倉庫にも確認申請

プレハブ物置でも原則として確認申請は必要です

プレハブ物置のようなものでも、設置するなら原則として建築確認申請は必要になります。

今回の計画では鉄骨造のカーポートがあるので確認申請が必要なのは確定しています。
しかし、プレハブ物置の設置には確認申請が不要ということになれば、カーポートだけ確認申請を通し完了検査まで受けておいて、後からプレハブ物置を設置するということもできるわけです。
ここではプレハブ物置を設置する場合に確認申請が不要になる場合というのを解説します。

①『建築物』とみなされるが、防火・準防火地域内にない小規模な建物

・10㎡以下の増改築であること
・建築地が防火地域、準防火地域ではないこと
これら2つの要件を満たす場合は建築確認の手続きの必要はありません。
ただし、確認申請が必要なくてもプレハブ物置は『建築物』となるので、建築基準法やその他の法令(例えば建蔽率や容積率等)に違反しないものを設置しなければいけません。・10㎡以下の増改築であること
・建築地が防火地域、準防火地域ではないこと
これら2つの要件を満たす場合は建築確認の手続きの必要はありません。
ただし、確認申請が必要なくてもプレハブ物置は『建築物』となるので、建築基準法やその他の法令(例えば建蔽率や容積率等)に違反しないものを設置しなければいけません。

② 敷地に定着されていない場合は『建築物』とみなされない

プレハブ物置を移動できないように基礎等に固定した場合は『建築物』とみなされて確認申請が必要です。
しかし、コンクリートブロックの上に置いただけのような、地面に置いているだけのプレハブ物置は、定着物ではないので、建築基準法の『建築物』とみなされないため、確認申請手続きは不要で建築基準法の適用もされません。

③ 小規模な倉庫としての扱いで例外的に『建築物』とみなされない

その他、下記3つの要件を満たす場合も、『建築物』に該当しないので確認申請は不要になり、建築基準法の適用がされません。
・敷地に自立して設置する小規模な倉庫・物置
・外部から荷物の出し入れを行うことができる
・内部に人が立ち入らない
この場合は例外的に小規模な倉庫として扱われて『建築物』とみなされません。

まとめ

確認申請手続きの必要がないとはいえ、①の場合は『建築物』とみなされるので『建築基準法』の適用は受けます。なんでも建ててはいいというわけではなく、建築基準法にのっとった建物にする必要があるのです。

しかし、②③の場合は『建築物』とはみなされません。
同じように確認申請手続きが必要なくても、扱いが異なるので注意が必要です。

確認申請が不要でも、『建築物』は建築基準法の適用を受ける

プレハブ物置の設置に、確認申請を行う必要がなくなる場合は、大きく分けて下記の2パターンが考えられます。
・防火・準防火地域以外に増改築する小規模な『建築物』である場合
・『建築物』とみなされない場合

『建築物』とみなされない場合はいいのですが、確認申請が不要でも『建築物』とみなされる場合は、建築基準法等の関係法令を遵守する必要があるので注意しておいてください。

例えば
・建蔽率の制限いっぱいまで使って建てていて、プレハブ物置を設置すると建蔽率がオーバーしてしまう。
・前面道路から後退することで道路斜線制限が緩和されているのに、後退しているところにプレハブ物置を設置してしまう。
等が原因で違法建築物となってしまうことが考えられます。

心配なら設計事務所等の専門家に相談してみることをお勧めします。
●建築相談はこちらから

執筆者略歴

[執筆者 / 監修]
三浦喜世
一級建築士
2007年から一級建築士事務所YMa主催
大阪、兵庫を拠点として店舗、注文住宅、共同住宅等の企画・デザイン・設計及び監理、中古住宅やマンションのリノベーション、オリジナル家具のデザイン・製作等を行う。
[受賞歴]
リノベーションアイデアコンペ 視点特別賞 受賞
東京デザイナーズウィークプロ作品展 出展
Design Competition in Kainan 入選
デザイントープ小論文コンペティション 入選

SHARE!

BLOG TOP